10/23に、アマービレホールでピアノリサイタルがありました。
今回はバッハのゴルドベルグ変奏曲をプログラムに入れるという、私にとって挑戦をしました。バッハは聴く分にはとても好きなのですが学生時代苦労した思い出もあり苦手意識が拭えません。
そんなバッハをプログラムに入れる日が来るなんて思いもしませんでしたが、結果的に演奏してよかったと思っています。
一つ、私の中で小さな成長ができた気がします。
他のプログラムはリストのオーベルマンの谷と、シューマンのウィーンの謝肉祭の道化。
シューマンは学生時代、先生から勧めて頂き取り組んだ思い出の曲。大好きな華やかな曲です。
そしてリスト。
私はリストの曲がとても好きです。曲想はもちろん、リストの人となりも大好きで(会ったことないけれど)、リストの曲を演奏するとなんとも言えない明るい気持ちになるところがたまらないです。
そんな華やかな曲が多いリストですが、今回の「オーベルマンの谷」は絶望のどん底にいるかのような暗さを持つ曲。
フランス人作家セナンクールの「オーベルマン」という小説からインスピレーションを受け作られました。
オーベルマンは悩める青年で、自分はどこから来てどこへ行くのか、、、自問自答の日々を過ごします。
曲の冒頭ひたすら深く沈んでいく旋律は、鬱々と悩むオーベルマンの嘆きのようにも聴こえます。
一方のリストは華やかな大スター。きっと欲しいものは何もかも手に入れることの出来た人だったことでしょう。
そんなスターのリストと悩める青年は一見結び付かないように感じるのですが、もしかするとリストは凡人には分からない深い悩みの中にいたのかもしれません。
スターだからこそ悩み、誰にも理解されず、オーベルマンに自分を重ね合わせることで救いを得ていたとしたら…。
リストの人間らしい部分が見えるようで、とても美しい曲だと感じました。
普段アンサンブルをすることが多いと、ソロのコンサートはとても孤独だと感じます。
そのためアンサンブルの方が楽しく感じてしまいがちなのですが、せっかくソロ演奏ができる楽器の奏者として、ソロのコンサートも定期的にしたいなと感じました。
また来年、企画できますように!
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